「日本一の下剋上です」
そんな言葉を生み出した高校生がいた。
野球部のキャプテンだった。
いろんな人に、自分たちのやれることを示したい!
そんな夢でも見てたのか、そう確信してたのか。
いや、ただ見返してやる、自分たちのチームは不屈だ、やってやるんだ。
そう思い続けて試合を重ねてきたんだろう。
彼らの矜持だったのだ。
そして、高三の夏に、たくさんの人々へ自分たちの輝いている姿を見せつけてくれた。
それは誰にもできない、彼らならではのことだった。
私たちはその姿を目撃した。
もう止められなかった。
とことん行くところまでやってやる。
そんな感じだった。ものすごい勢いがあった。
それから二週間後の甲子園では大敗してしまった。
でも、スタンドは彼らが輝く姿を見たくて、いつまでも応援したいと思っていた。
凡打になろうが、相手の校歌だろうが、夜になろうが、満員のスタンドはいつまでも彼らを応援した。
スタンドの人々も「下剋上」を応援し、自分もそうなりたいと思ってたんだろう。
試合は終わり、選手たちはふるさとに帰った。
でも、下剋上魂は、彼らがいるところでずっと続いていくんだ、きっと。