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土だんごとバクダン


お題「人生で一番古い記憶」

 

 小学校6年生の時の担任の先生は、オールドミスの30歳でした。ご結婚されてなかったと思います。それから、ご結婚されたのか、先生と連絡を取り合い、お会いした同級生たちもいたみたいだし、先生の後を追いかけて先生になった子らもいました。

 

 私は、卒業してから、まるで縁がなくなりました。気にかけてくれてたみたいですけど、お会いすることはなかったです。

 

 先生のお名前は、「征乃」と書いて「ゆきの」とお読みするんだったと思います。それくらいに、外敵を征伐するという気概のこもったお名前だったそうです。先生は戦中派だったんですね。その先生が四歳の時、空襲があったそうで、目の前で爆弾が破裂して、先生は無事だったけれど、この目の前のものすごい勢いの爆発は先生の小さい頃の強烈な思い出だと教わりました。

 

 私は、「四歳のことを憶えているなんて、そんなことがあるものなのかなあ」と思い、自分には四歳の記憶は、全くなかったので、何だか悲しくなりました。

 

 私の最初の記憶というのは、幼稚園の通学路、その帰り道がぼんやりと浮かぶ程度でした。「さあ、やっと幼稚園を出て、家に帰れる」そのうれしさがあふれる、幼稚園前の道だった気がしました。

 

 幼稚園は一年しかいってないですけど、軒下で土だんごを作って、一晩土の中に埋めていただんごは土の中から掘り起こすと、黒光りしていて、強く成長しているような気がしたものでした。けれども、他の子たちのだんごも成長しているから、進化した私の土だんごは、戦うとパカッと割れてしまって、また一から作り直す、そういうことがあったでしょうか。

 

 土だんごの戦いは、順番にぶつけあうのです。先手を取った方が、何センチかの上から、相手のだんごめがけて落とす。割れなかったら、今度は割れなかっただんごが上から落ちる、そんな競技でした。たいていすぐに割れてしまうから、勝負と言えるのかどうかわからないような戦いでした。

 

 

 だんごを混ぜる時に自分のつばを混ぜたら強くなるとか、違うところからとった土が強いとか、変てこなこだわりでだんご遊びをしていました。

 

 これが、私の最初の記憶? 違うような気もするけど、幼稚園と言えば、だんごの戦いでしたっけ……。