彼女は不思議な雰囲気をもった生徒でした。
長い髪、少し冷めた口調、わりとおおがらでゆったりとした感じ。でも、ごくたまにカンシャクを起こしたり、仲間とけんかをしたり、書いてみるとフツーの高校生だな。そうか、そんなに不思議ということでもなかったのか。
でも、彼女が恋愛対象に選んだ相手は、なんと昔っからの幼なじみで、特にスキキライとかなかったと思うんだけど、学校も終わるという時に、ゆるやかに結ばれた感じでしたっけ。これは少し違いますね。たいていの若い人なら、もう少しベッタリいってしまうんだけど、彼女はそういう気配を一切出さなかった。本当につきあっているのか、それさえ疑いたくなるような、淡々とした恋愛みたいでした。
そうでした。彼女の作る作品は昔から懐古調でした。あまり今のよろこびを歌い上げる人ではなかった。
思い出はいつもキラキラ輝いて幸せになる魔法のようで 女子
魔法のように輝く思い出ってあるんだろうか。
私はそんなの持ってないかも、いや、古びただけなのか……。