うみそらひとことば

若者たちのことばを載せていきます! 

恋に恋しアベックなるもの憧れて 雨の通りをうつむき歩く

2017.12.4 記
 
 啄木さんの十代をうたったものを三つ載せてみます。

己(おの)が名をほのかに呼びて
涙せし
十四の春にかへる術(すべ)なし


教室の窓より遁(に)げて
ただ一人
かの城址(しろあと)に寝に行きしかな


不来方(こずかた)のお城の草に寝ころびて
空に吸はれし
十五の心


 啄木さんが、東京かどこかで、売れない小説を書き、新聞社の校正係をコツコツ勤め、それでも何か書きたくて仕方がなくて、ついつい昔の自分を思い出し、少し美化してノスタルジックに書いた作品です。

 もう少し長生きして、自分の高慢で、生意気で、プレイボーイで、才能があるというのを鼻に掛けているのを冷静に見つめるようになったら、自分を題材におもしろい小説が書けたでしょうけど、残念ながら彼には、時間がなかった。

 断片的な歌ではあるけれど、なんとなく彼にしか出せない味があります。今の人がこんな歌を作っても、誰からも取り上げてもらえないでしょう。

 こんなにまっすぐで、アッケラカンとして、自分の過去を語れるのは、彼ならではです。そうです。今の人なら、もう少し楽しかったこととか、だるくてつまらない日々だったと振りかえるだけで、自然と交感するところがありません。

 そうですね。啄木さんは、すぐに風景にとけこんでトリップしてしまう。魂はそこに放出してしまうし、別の自分が現れて、問答などをしてしまう。

 啄木さんも、歌の中で物語が作れていますね。だから、私たちは彼の物語もついつい読んでしまうんです。小説は読めそうもないけど、短歌の中の物語なら読めそうです。彼なりの世界があるような気がします。

 
 さあ、賢治さん、啄木さんに挑戦するんですね。何歳です?

 大正三年(1914)のところに入っているから、十八歳になるのかな。だったら、賢治さんに勝ち目はないかもしれない。キャリアも違うし、啄木さんのフィールドで戦うんだから、アゥエーだと思うんだけれど……。

176 城址(しろあと)のあれ草にねて心むなしのこぎりの音風にまじり来(く)

181 しろあとの四つ角山につめ草のはなは枯れたりしろがねの月

182 碧(あお)びかりいちめんこめし西ぞらにぼうとあかるき城あとの草


 十代のむなしさみたいなのは出せていません。もちろんこれは十代そのものなんだから、渦中にある人が自分を冷静には歌えません。やはり、啄木さんの方が勝っている。

 でも、すでに賢治さんは武器というか、得意技というか、これなら負けないというものを持ちつつあります。

 天然自然の現象を上手にキヤッチするし、そっちのセンサーがかなり発達しています。外に出てみれば、それらが自然と目に入り、耳で聞こえ、それらを使って風景描写ができる力を持ちつつありました。

 「のこぎりの音」が城址で聞こえる。お月様が白銀に見える。稲光に一瞬青いものをつかむことができる。この切り取り方が、賢治さんの理科的センスであり、目なんですね。啄木さんはそういうのは持ってませんでした。ただ、心の内に何があるかをポイッと出す人でしたから。

 啄木さんは短歌は天分でやっているのかな。賢治さんは努力の人なのかな。

 冒頭の短歌(?)は、オッチャンのわたしが、お風呂の中でムリムリに十代をふり返ったものです。私は、もちろん才能も努力も足りません。ただ無手勝流で下手を振り回すだけです。



2021.5 リモート短歌

 

* メールでコロナに関わる短歌を募集したら、三年生たちは答えてくれました。

しばらくは会えないけれど僕の春 友と暮らせる学校に行こう……T・K

 その通りでしたね。6月にやっとスタートしたんだった。


テレビ見てほとんどコロナばっかりでただただ時間が過ぎていくだけ ……R・M

 みんな普通に生活しているのに、昼間の生活スペースを3か月ほど奪われたんでした。 


カラオケに行きたい気持ち大変だ 爆発しそうおさえましょう……A・M

 若者にとってカラオケって、生活の一部、おおっぴらにお酒を飲めない若者たちは、カラオケで発散していたんでしたよ。


ウイルスはどこに潜むか分からない手洗いうがいかかさずしよう……S・K

 そんなこともありました。今も学校ではみんなマスクしてるんだろうか?

 

コロナさんあなたが本当に自粛して 僕ら本当に自由がない  ……S・S

 2年前の若者たちは抑えつけられていました。みんな元気にやっているかな。


休み伸びどうしてくれる高校Life とても悲しい一年になる……K・T

 悲しい1年でしたね。でも、みんな我慢させられていた。だから今は、みんな自由にできているんだろうか。このままコロナがなくなってくれたらいいのにね。


進路での不安なことは進学と就職 できるかどうしようかな……C・N

 たぶん、乗り越えてくれたんですよね。それはよかった!

 

ウイルスの予防や対策しっかりと かかるものかと気を張りつめる……A・H

 気を張り詰めていたんですね。今はそんなじゃないから、それはいいかな。


休校で友達会えず電話する 友達元気自分も元気……S・N

 電話できる友だちがいたんですね。それはよかった。友だちのいない子はどうしてたんだろう。

 


コロナでね課題が増えて憂鬱だ 外にも出れず困っているよ……S・T

 課題だけがありましたね。それが学校なのか、よく分からなかったよね。でも、仕方なかったんだ。

 

帰ったら洗面台へ即移動 手を洗うまでが外出だ……Y・H

 外にはとんでもないものがいて、みんな家の中に持ち込まないように必死で過ごしていましたね。

 
アビガンは子供に影響あるらしい 命を取るか子供を取るか……Y・M

 みんな見えない敵と戦っていた。武器はなかった。薬もなかった。自分で自分を守り、人からうつされないようにするだけだった。

 

コロナ時期 外に行けない暇な日々 会いたい人も会えない日々も……C・N

 人と生きるということがどれだけ大切なことなのか、あれで少しだけわかった気がしました。あの教訓は今に生かされていると思うんですけど。

 

日々ゲーム課題終わらず焦りだす 急いでやって提出をする……K・T

 自分は何がしたいのか、自分の生活って何なのか、問い直すことはできた気がしますね。

 

コロナでの自粛期間は家こもり新たに届く課題と格闘……M・K

 それも思い出の一つかな。今思うと、そんな長い休みがあった、ということなんですね。


友達とリモート会議は楽しくて 通話時間は常に更新 ……S・N

 それも友だちだからですよね。みんな同じ状況に置かれてもがいていたんだなあ。


日々日常を変えてしまったウイルスよ 妹とする手洗いうがい……K・M

 きょうだい仲良く暮らす日々、一緒に乗り切った仲間になりましたね。


新学期始まったのに休校に コロナのせいで友達会えず……R・K

 区切りのない日々でしたね。何やってるのか、わかんなかったなあ。

 

今年こそ遂に行けると喜んだ ライブ無くなるコロナウイルス……A・K

 大事なチャンスも失いました。少しずつ取り戻すしかありません。みんな今もそれを乗り越えようとがんばっているんだろうな。

 

 

 

夏の日、雨、そして猫

 

1 夏の日に強く匂うアスファルト雨を察して増す嫌気      ……女子

 夏の前、こんな感じがありましたね。あと少ししたら、こういう感じは手に入りますね。そんなにうれしくないか……。

 

2 耳すまし友だちを待つ雨の音一人ぽつんと駅のホームに     ……女子

 友だちを待つ、次から次と電車が来ればいいのに、田舎は?十分待たなきゃいけないんです。

 

 

3 家帰る猫がお迎えかわいいな明日からまた頑張れそうだ    ……女子

 ネコはお迎えしてくれるんですね。ありがたいですね。うらやましいです。

 

4 今年もね気温が高くてやばすぎる水分補給忘れずにね     ……男子

 これからも毎年ヤバイ暑い季節はありますよ。そんなのがないところに行きたいけど、無理かもしれないし、こまめに水分補給していきましょう。


5 吸い込んだ空気に溶けた太陽が体を焦がして夏が近づく    ……男子

 わたしたちは、体内からも暑さを取り入れていくんですね。そういうのをガンガン吸収できるのって、やはり若いからかな。

 

きょうの朝

 

1 きょうの朝 電車の外の美しさ今日も頑張る一日過ごす       ……女子

 この気持ちがうれしいです。ぜひ、私も、こんな風にいろんなものに美しさを見つけたいです。

 


2 授業中ふとした時に時計見てまだかまだかと終わるのを待つ    ……女子

 時間がなかなか過ぎない時、ありますね。何かふと考えにとらわれたら、一瞬で時間なんかなくなっているのにね。

 

3 テスト終わりにドーナツなんかでも食べに行きたいなあ     ……女子

 食べに行ってくださいね。今しか食べられません。年を取ったら、おなかのことばかり気にしなきゃいけないですから。


4 テスト前勉強してテストの日すぐに忘れる私であった      ……女子

 つまらないものなんて、どんどん抜け落ちていきます。そんなの当たり前です。何が大切なものなのか、そんなのわからないしね。だから、まあ、とりあえず勉強するんだろうな。いつまでもしなきゃいけないです。


5 見た目だけ変わっているのはどちら様見た目変われど中は変わらず  ……男子

 どんな状況で声をかけたのか、それがわかったら、もっと楽しい短歌になりましたね。また、どうぞよろしく!

 

 

 

十月、今朝は雨

★ 2018年の今ごろの1年生(1組)の作品を載せてみます。

 

秋が来てもうすぐ寒い冬が来るあたたかいよねかまくらのなか                   男子

 枕の中、フトンの中が恋しいなんて、寒さに敏感なんだから、私たちって! ホントにあれこれ言いますね。なかなか我慢できない。でも、たいていは我慢している。

 

冬が来たうちの愛猫こたつイン       女子

 「こたつイン」なんて、なかなかおもしろい言葉づかいなんだけど、俳句としてはいけないのか。でも、素直な気持ちです。

 

十二月いろんなことがありました告白されて答えが出ない    

                     女子

 彼女はもう、冬のトラウマにとらわれそうになっています。そんな悩んだことがあったんですね。今は元気でいるかなあ。みんなにモテモテなのかなあ。

 

冬になり朝起きれなくなりましてみんな冬眠の季節到来       

                               男子

 どうして人間様が冬眠しなきゃいけないんだよ! と思うけれど、それくらいみんなはワイルドで自然に生きてたということでしょうか。眠いって言ってるけど、ギンギラギンの時間もあるはずなんですよ。

 

秋にはねインフルエンザがやって来るだから手洗いうがいで予防                  男子

 4年前の若者たちは、インフルエンザが怖かったんですね。何だか懐かしい。早くそういう普通の悩みに悩まされたいです。今は、何もかもが怖くて、人も怖い感じです。人から離れて暮らしたいなんて思う気持ちもあるから、何だかいけないですね。

 

卒業ださみしくなるな高校生活あっという間の三年間  2019卒業生

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冷たいな家から出ると冷える風            男子

時は過ぎ春の風吹くあたたかい            女子

 

夏休み海に行ったら泳ぐでしょ            男子

 

窓を開けお庭が真っ白雪景色             女子

 

バスケ漬け飽きずにボール追いかける         男子

 

おいお前デュエルをしろよしてくれよ         男子

 

将来に不安ばかりが残りよる             男子


ソシャゲへの課金しすぎて自己破産          男子

 

ワワンワンワオーンサケブワンワンは         男子

 

星を見たキレイだねって君は言う           男子

 

すべきことやろうとしても忘れてく          男子

 

 先輩たちはこんなことを書いてましたか。古くて新しい、いつまでたっても私たちはこんなことをつぶやいて生きていくんですよ。

 

 ね、先輩たち、今はどこでどんな顔して頑張っているんだろうね。今はコロナで何にも楽しくないけどね。おいしいものも家で食べるしかないし、手の込んだ料理とか、おもしろい風景とか、会いたい人とか、すべて無理ですもんね。

 

 仕方がないから、せいぜい今できる楽しいことを考えていきましょう!

短歌かな? それともつぶやき?

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夜の日はほうしがキラキラでうつくしい            女子

  ほうしって、何だろう。星のことかな? 素直な気持ちですね。

 

部屋のエアコン壊れてるなので夜はめっちゃ寒い        女子

  その通り、暖房のないところでどんな風にして過ごしたらいいのでしょう。

 

寒すぎてエアコンつけて温かい電気代ドカーンアハハハハハハ  女子

  せっかくエアコンつけたのに、電気代のことが気になるなんて、何かかわいそうです。そんなこと気にせずにできたらいいけど、電力を浪費するのはいけないね。

 

クリスマスカップルがいるかなりいるイルミネーションばくはつしろよ  女子

  こんなこと書いてみたくなる時もありますね。でも、そういう気持ちはすぐ切り替えた方がいいかも!

 

冬休み宿題があるだるいなあでもやらなきゃいけないよー    女子

  今の学校、ほとんど宿題がないと思ってたんですけど、あるのかなあ。

 

まただ今日もまただ終わりなき日々が始まるまただ今日もまただ終わりなき 男子

  彼は勉強のできる生徒なんでしょう。だから、いろいろとチャレンジできるし、受け止める力もあるみたいです。

 

秋が来て暗くなるのが早くなり冬が来たるは雪が降りける    女子

  日が短くなったら寒くなる、どういうわけか永遠の真実なんです。太陽に当たりすぎると二百度くらいになってしまうんですもんね。彼女は百人一首が大好きなんだそうです。それをどう生かすか、なかなか難しいですね。好きであるということと、自分がどう表現するかってうまくリンクしないです。

 

 

 以上、今勤めているところの1年生の作品でした。みんな寒さにうんざりしています。寒さを楽しめるには、何か工夫が必要ですね。