君に触れる日まで待っててね
私の大切なもの、それは生きるために必要なもの。そして……。このくだらない人間社会の中で生きるために必要な現実逃避するための材料。たとえば、それは家族でも恋人でもペットでも、あるいは自分の好きなことをできるためのものでもいい。
正直、私の現実逃避するための材料は、トランペットだったり、料理だったり、実に様々なものがある。というより多ジャンルに富んでいる。
昔買ったトランペット。いまでも大切に手入れをしながら保管している。気が向くと触れたくなる。自分を自由に解放させて、無我夢中に曲を吹く自分が昔のことのように思い、悲しくなり、よく吹いていた曲や最近気になった曲のメロディーとともに音を音階でうたう。気がつくとマウスピースを取り出し吹いている。ふと思い描くのは「あの青空の見えるあの場所で誰にも邪魔されずに吹きたい。」
そんなことが叶うはずもない生活をしている私だが、一つの野望としている。
「またあの解放感を求めて、あの大切なトランペットを青空で優しい風が吹く日に、大切な時を作り出すために吹こう。」
トランペットの与えてくれる解放感と少しの緊張感、これはまさに快感……。
それはとても心地よくずっとその快感に溺れていたい……。
ダケド、戻らなくてはならない。
いや、戻らないと駄目なんだ。
なぜかって? それは楽しむための苦い良薬だから……。
だから、もう少し待っててね? もっとこの嫌な現実と向き合ってから楽しみたいの。
そして……。「もし、その時が来たらよろしくね! 私の大切なトランペット。」