hakusangogo

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強がりと無表情のうらに

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こんな歌がありました。

 

 小さいとき人の不幸に涙をし今は人の不幸を笑う    男子

 

 この子が、そんなに悪い人というわけではなくて、あまり人との関係をうまく作れなくて、そのもどかしさがあるような気がします。なかなか自分を開放できていない感じの子です。

 

 だから、言いたいことも言わず、思ったことは自分の中だけで解決し、何かあるのと訊ねても、「いえ、別に……」と流されてしまう。

 

 そして、時々こんな短歌を彼からもらいます。

 

 つらい部分もあるのだろうなと同情し、いつか彼も心を開いていろんな人とつながらなきゃいけないと思うけれど、今はその時期ではないのだろうと諦めています。

 

 でも、もうすぐ彼も卒業だし、そうしたら新しいステージもあるだろうし、見違えるような人として戻ってくる時もあるし、そういうのを期待します。

 

 だれか、彼の心の中に入れる人が、「そんなこと言うなよ」と言ってくれて、

「いや、違うんだよ。冗談というか、そんな意地悪な時があるんだよ」と説明してくれたらいいのにな。

 

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こんな句もありました。

 

 ねむたいなほんならずっと寝とけクズ           男子

 

 これは、自分に向けて、自分を励ますことばなのだと思います。

 

 とはいうものの、なんという物言いなんだとこの句を見て、眉をひそめる方もおられると思います。

 

 こんなふうにしか自己表現できない子もいるということですね。自分であれ、他人であれ、この言い方はよくないと思うのですが、これしかできない。

 

 だから、自分であろうが、他人であろうが、容赦なくこんなことばをぶつけて平気でいる。これを踏みとどまるすべも持っているのに、たいていはうまく使えていない。

 

 穏やかな気分のために、もっと前向きに何かやりたくなるようなこと、考えなくてはいけません。