彼女は卓球部でしたよ。部員はずっと1人でした。次の年に女の子が1人。これでふたりになりました。からっぽの武道場で練習すれば、もう少しのびのびできたと思いますが、ずっと体育館の中でポツンと練習していた。
それが、三年生になって部員がたくさん入り、団体戦や混合だってできるようになりました。それはすべて彼女のがんばりが根付いていった証拠だと思われます。彼女は実に強い人でした。
そして、本も大好きで、ずっと図書館にも通っていた。どんな本を読んだのか、あまり話はしなかったけれど、読んでいたのは確かです。
今は就職して、お仕事をコツコツしているのかな。だから、彼女はこんな歌を詠みました。
本はねえ、あなたのことを待ってるよ
新しい世界まで運んでくれる
彼女らしい、愚直な歌でした。真面目で、そのまんまでした。もっとたくさんたくさん歌を作ってもらったらよかったな。そうしたら、いいのが生まれたかもしれません。
彼女はわりとホイホイと作れる人だったから、それをお願いしたらよかったですね。それをしなかった私は、ただの怠慢オッサンでした。
今、元気でお仕事してるかな。どうなんだろう。
何も聞かないということは、元気でやっている、ということなのかな……。