hakusangogo

生徒の作品を掲載します! どうぞ、よろしく

彼女はまだ十九……

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 彼女の作品は、もう三回も当ブログに登場しています。それくらい、短歌の達人だと私は思っていたんですけど、たまたま短歌のコンクール等では採用されないまま、彼女は卒業していきました。

 

 まだ卒業して一年も経っていないから、成人式は来年になるんでしょう。普通なら、卒業生はあれこれと理由を付けて、母校にフラッと現れたりするんだけど、彼女は忙しいのか、姿を見せていません。

 

 せっかく母校に来ても、特に会いたい先生なんていないでしょう。それはそうだけど、みんな卒業生は、会いたい人がいなくても、学校の空気を吸いにやって来るんだけどな……。

 

 またいつか、学校か、それともどこかで元気な彼女の姿を見られる日を楽しみに、彼女の作品を載せてみます。とてもザンネンな作品ではあるのだけれど……。

 

  寒くてもスカートだけは変わらない女子高生の………

 

 最後の七がなかったのです。本人は何か書きたいものがあったと思われますが、とうとうそれを出せないうちに、作品を提出してしまった。

 

 本人の中にある最後の七音を想像する楽しみを与えてくれる作品で、永遠の未完成です。「プライドなのだ」とすると生意気だし、「我慢しどころ」だと説教くさいし、どうしたらいいのかな。

 

 私の作品ではないので、どうにもできないですけど、彼女の中でどんなふうになっていたのか、教えてもらうチャンスも、もうないでしょうね。まあ、それはそれでいいんですけど。

ベイスターズとマリコさま

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 冬休みなので、昔の卒業生の作品を取り上げてみます。

 

 まずは、マリコさまです。たぶん、私は誰のことかわかりませんでした。ちゃんと認識できたのは、彼女が卒業するあたりだったでしょうか。今は何をしておられることか、私にはわかりません。

 

  総選挙選挙と言えばAKB 今年も入れますマリコ様に    男子・2012

 

 篠田麻里子さんというタレントさんで、お姉さんみたいな動きをしていましたっけ。たぶん、福岡県出身のタレントさんでした。

 

 作者の彼は、熱烈なベイスターズファンでもありました。そちらの方が好きで、ヨコハマスタジアムに行きたいからと、神奈川県に就職もしてしまいました。何かきっかけがあったと思われますが、それは教えてもらう機会がありませんでした。

 

  今年はお金をかける横浜は来年優勝期待している

 

 そんなことを書いていました。そんなの無理だよと、こっちは思っていましたが、ラミレス監督になってから、チームは活性化して、2017年にクライマックスシリーズを勝ち上がり、日本シリーズにも出てしまいました。

 

 きっと彼はスタンドに駆けつけたことでしょう。

 

 彼がAKBのマリコさんのことを書き、来年こそと思っていたのは、2012年でした。もう6年前でした。

 

 時間は知らぬ間に過ぎていきます。マリコさんも卒業してしまいましたし、来年ダメだったら、ラミレス監督はクビかもしれない。来年の本命はジャイアンツなのかな。復帰1年目の原監督は強いでしょう。すぐに神通力はなくなるはずですけど、1年目はねえ……。

冬の夜、何をしよう?

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 彼は弓道部で活躍しました。生徒会活動にも参加し、ダンスを披露したり、お腹のダンスもしてみたり、体当たりの活躍をしてくれました。

 

 よく食べて、よく寝て、小さなことにはこだわらず、わりと心はおだやかで、それでも気づいたらちゃんと自分のできることをして、たくましい存在の子でした。

 

 その彼がこんなことを歌にするなんて、何だか意外な感じでした。

 

   冬の夜冷たい風吹く丑三つ時 今日はひとりで星をながめる

 

 お仕事頑張っているのやら、弟さんは今も学校にいますけど、お兄ちゃんとはまた違ったキャラで、あまり人と関わるのは好きではないようです。

 

 お兄ちゃんをネタにしておしゃべりできたらいいんだけどな……。

 

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重い空気、みんな眠いのだ!

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寒い中車校で待たされる重い空気              女子

 五七五になってないけど、どうして音数合わせてくれないんだろう。五九六になっています。

 

ストーブついて教室あたたかいが眠さ倍増          女子

 彼女だってそうです。七十七です。これは短歌? たぶん、違うと思う。

 

好きな人スマブラ強すぎ結婚してくれ            女子

 スマブラって何ですか? ああ、分からないなあ。好きな人って、現実の人なんだろうか。それさえわかりません。まあ、私なんかに分からないように書いてあるんだろうな。


ひしひしと感じるようになってきた残りわずかな学生生活    女子

 これはわりと素直な三年生の短歌です。やはり、彼女の言葉は私にも伝わります。有り難い。こういう人がいないと、年寄りはしんどくてしかたがないのです。

 

いつもよりテスト期間はねむたいな夜遅くまで勉強するよ     女子

 たぶん彼女は勉強しないんでしょう。するのかな。どうしたらこの子たちが勉強したいと思うんだろう。目的が必要です。

 

帰りたい好きなことして遊びたい                男子
疲れたわ頭も痛い助けてよ
しんどいな鼻水垂れて腹が立つ
お金くれ毎日遊んで金がない

 遊んで、お金を使って、風邪ひいて、体調がよくないなんて、ねえ、キミ、遊びすぎてない? そもそも遊びって、何をするの? どこかを走り回るの?

 

 何かいいこと見つけてくださいね。

三回唱え! えっ、何を?

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 甲子園騒ぎでバタバタしてましたけど、彼はその1つ上の学年で、卒業してからも野球ができる職場を選んで就職しました。彼は、どこを守っていたんだろう。

 

 全く彼がどこにいたのか、外野か、内野か、そんなこともわかりません。私はただスタンドで一試合かそこら見ただけでしたから。

 

 冬の空星が輝く空を見て 流れ星降り三回唱え

 

 何だかもったいない。

 雰囲気はあるし、何かもう少し話を聞きたいのに、もうそこで終わってしまっている。言わずにイメージを膨らませるという作戦もありだけど、この歌は前半がもったいないのだと思われます。

 

 冬の夜空に行く前に、空を二回使ったり、空を見てと説明したりしている。

 誰といるのか。どうして外を歩いているのか。誰かそばにいるのか。作者はいくつくらいの人か。わからないことがあり過ぎです。

 

 三回唱えたこと、その内容の一端でも教えてくれたら、私たちは満足するのにな。

いや、冬の夜空なんて、私たちはそんなの見上げないで、あたたかいところに急行しているのかもしれない。

 

 寒空をものともしないたくましさ、身につけたいなあ。

 

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1年生の秋 短歌三首

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  不思議な感じの短歌を三つ見てください!

春思う桜に香るはちとやませ 明日の光を差すことなかれ      男子

 

  秋に桜の歌を書いてはいけないということはありません。でも、わかりにくい作品       ではあります。ちとせやまって、どこにあるんだろう。桜の名所かな。桜のことをイメージしている。明日の光は「差すことなかれ」とは、どういうことなのか。光が差してはいけないということなのか。それらしいけど、切り貼りしたのかどうか。

 

私のペットずっと寝て食べ続けおりそのせいで腹ぽっこりである   女子

  「続けおり」なんていう古くさい言い方ができるんだと、そちらに感心したくらいです。ペットの短歌でした。

 

風の頭とてもきたない伸ばすのを続けていても意味がないよね    男子

 

  「風の頭」というのがそもそもわかりません。伸ばしっぱなしのボサボサ頭ということなのか。髪もあまり洗ってなかったら、そりゃ汚いでしょうけど、それを切れという意味なんだろうか。

 

 だったら、何だかおせっかいな感じです。もっと別の意味はないんだろうか。

 

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美術室の窓から

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 窓に、こんな不思議な絵が貼り付けてあります。誰が、どんな思いで、何を描いたのか、まるで見当もつきません。

 

 でも、とりあえず面白いと思います。

 なかなかステキな絵じゃないかな。パジャマなのか、着ぐるみなのか、とにかく何かをかぶっているみたいです。

 

さて、短歌です。

 

  昼下がりさえずる小鳥の子守歌 秋風とともに襲う睡魔よ    男子

 

 彼は美術部のエースでした。バスケット部にも所属した彼は文化祭で大活躍したり、スタイリッシュな絵を描いたり、いろいろ活躍しているうちに芸術系の道に進んでいきました。

 

 短歌でもいろいろと活躍してくれたけれど、この歌も上手にまとまっています。でも、彼らしいワイルドかつ繊細な感じは出せていないですね。

 

 小鳥の歌が子守歌になったよ、というのが、読む人に驚きを与えにくくなっているんでしょうか。ことばで人をビックリさせることって、なかなか難しいのです。

 

 私にもアイデアはありません。ただ、彼の上手な世界に何か足りないけど、何がいいのか、それが私にもわからないのです。

 

 上の句はわりといいリズムだから、下の句で寝てしまわずに、何か彼らしくはじけてくれたら、おもしろかったのかもしれません。

 

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